皆さんこんにちは。「ストレス管理と職場のウェルビーイング」シリーズとして、前回は、職場内でストレスが生じる具体的な原因について掘り下げました。職場でのストレスを軽減するためには、企業や管理者による取り組みが重要ですが、個々の従業員自身も日常的にストレスを管理する方法を学ぶことが必要です。今回は、従業員一人ひとりが実践できるセルフケアをご紹介します。効果的にストレスを軽減し、心身の健康を維持しましょう。

1. マインドフルネスの実践

マインドフルネスは、今この瞬間に意識を集中させる方法で、ストレス軽減に効果的です。マインドフルネス瞑想を日常的に取り入れることで、ストレスや不安を低減し、精神的な安定感を得ることができることがわかっています。
具体的には、1日10分ほどのマインドフルネス瞑想を行うことが推奨されます。静かな場所で座り、呼吸に意識を集中させ、思考が浮かんできてもそれを判断せずに流す練習を行います。こうした練習は、ストレスが高まったときに心を落ち着ける技術として役立ちます。

2. 定期的な運動習慣

運動は、身体だけでなく心にも良い影響を与えることが知られています。特に有酸素運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げ、エンドルフィンという「幸福ホルモン」の分泌を促進します。
職場でできる簡単な運動としては、昼休みや業務の合間にストレッチを行ったり、近くの公園を歩いたりすることが挙げられます。週に3〜5回、30分程度の中強度の運動が、ストレス軽減やメンタルヘルスの改善に効果的であるとされています。

3. 休憩の取り方を工夫する

休憩の質も、ストレスマネジメントにおいて重要な要素です。効果的な休憩方法としては、短時間でも定期的に休憩を取る「ポモドーロ・テクニック」や、自然の中でのリフレッシュが推奨されています。自然環境に触れることでストレスホルモンの分泌が減少し、リフレッシュ効果が高まることがわかっています。
例えば、オフィスの外に出て5〜10分間自然の中を散歩したり、昼休みに公園でリラックスする時間を作ることが効果的です。

4. 睡眠の質を高める

質の高い睡眠は、ストレス耐性を向上させるために欠かせません。睡眠不足や質の低い睡眠は、ストレスを増大させる一因となります。適切な睡眠を確保するためには、以下の点に注意が必要です。

  • 毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつける。
  • 寝る前にスマートフォンやパソコンなどの画面を見ない。
  • リラックスできる環境を整える(照明を暗くする、静かな環境を作る)。

成人は1晩に7〜9時間の睡眠が推奨されており、これによりストレスや疲労が回復されやすくなることが確認されています。

5. ポジティブ思考を養う

ネガティブな思考は、ストレスを増幅させる大きな要因となります。逆に、ポジティブ思考を養うことができれば、ストレスへの対処が容易になります。研究では、感謝の気持ちを持つことがストレス軽減に役立つことが示されています。
毎日、感謝できることを3つ書き出す「感謝ジャーナル」をつけることで、ポジティブな視点を育て、日々のストレスへの耐性を高めることができます。

6. コミュニケーションを大切にする

ストレスを一人で抱え込むことは、ストレス症状を悪化させるリスクがあります。信頼できる同僚や上司、家族に話を聞いてもらうことで、ストレスを軽減することが可能です。心理学の研究では、社会的サポートが充実している人ほど、ストレスに強く、健康状態が良好であることが明らかになっています。
職場でもオープンなコミュニケーションを推奨し、ストレスを感じたときにすぐ相談できる環境を整えることが大切です。

まとめ

個人が実践できるストレスマネジメント方法には、マインドフルネス、運動、質の高い睡眠など、さまざまな方法があります。従業員一人ひとりがこれらの方法を日常に取り入れることで、ストレスを軽減し、健康な心身を維持することが可能です。次回は、企業ができるストレス管理支援を紹介します。