今日は、PFASの問題についてお話ししたいと思います。最近、ニュースや健康に関する情報で「PFAS」という言葉を耳にすることが増えた方も多いのではないでしょうか。PFASは「Per- and PolyFluoroAlkyl Substances」の略で、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称です。PFASは化合物は耐熱性、耐薬品性に優れており、様々な製品に使用されています。例えば、下記のようなものに使われています。

・フライパンや炊飯ジャーのコーティング
・スキーやスノーボードに使うワックス
・ピザやケーキなどの持ち運びに使う厚紙
・お菓子などに使われている包装紙
・消化器の中に入っている泡消火剤
・半導体の表面処理剤
・金属メッキ液
・工業塗料への添加剤
・布の防水加工
・はっ水加工剤
・自動車の製造
・家のフローリング

現状の課題

PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、環境中で分解されにくく、生体内にも蓄積しやすい特性があります。このため、一度環境や体内に入ると、長期間残留し続ける可能性があり、これが私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

近年の研究では、PFASがさまざまな健康問題に関連していることが示されています。具体的には、以下のような問題が指摘されています。

  • がんのリスク:いくつかの種類のがん、特に腎臓がんや精巣がんとの関連が疑われています。
  • ホルモンバランスの乱れ:甲状腺機能の低下やホルモン異常を引き起こす可能性があります。
  • 免疫系の影響:免疫系の機能低下やアレルギー反応の増加が見られることがあります。
  • 生殖系の影響:精子の質や量の低下、女性の月経異常など、生殖機能への影響が指摘されています。
  • 発育への影響:妊娠中の暴露が胎児の発育に影響を与える可能性があります。
  • 血中脂質への影響:血中の脂質のバランスが崩れ、動脈硬化などのリスクが高まる可能性があります。

これらの健康リスクを考えると、PFASへの暴露を可能な限り減らしていくことが何より重要になります。

PFAS検出状況

さて、PFASが水道水や近くの川、地下水にどれくらい含まれているかのわかるサイトがあります。

地下水河川敷:https://www3.nhk.or.jp/news/tokushu/20240612/pfasmap/?data=1#5.29/34.869/134.954

水道水:https://www.nhk.or.jp/minplus/0121/topic094.html

弊社のある京都市はPFASは6ng/Lと基準値以下ですが、三重県桑名市や岡山県吉備中央町では基準値を大幅に超えるPFASが検出されておりますね。

各自治体は基準値以下になるよう努めているとのことですが引き続きモニタリングを含めた注意が必要かと思います。

日本における規制状況

日本においてはすでに2018年から、PFASの中で代表的な化学物質であるPFOSとPFOAの製造や輸入について、一部の例外を除き原則禁止されています。

PFASの健康リスクへの対応は、世界的にも深刻に捉えられており、EUや米国などでも政界的な規制強化の動きが加速しています。

ただし、日本ではPFASの暫定基準値(指針値)は50ng/Lになっておりますが、昨年2023年米国でだされた基準値は8ng/L以下と、日本はまだ基準が緩い可能性があり、そこは注意が必要かと思います。

また、現状、一万種類あると言われるPFASのうちPFOAとPFOSのみしか測定対象にしておらず、一方の米国では追加でPFHxS、PFNA、 HFPO-DA、 PFBSなども定期的に測定を行い基準値を定めていて今後の国の規制強化の動きに期待するところです。

職場や日常生活での注意点

職場や日常生活では、以下のようなポイントに注意し、PFASの暴露を最小限に抑えていきましょう。

  1. 製品の使用に注意:PFASを含む製品(防水スプレー、消火剤、コーティング剤など)の使用を最小限に抑え、可能であれば代替品を使用するようにしていきましょう。
  2. 定期的な情報収集:PFASに関する最新情報や研究結果を定期的にチェックし、自分や家族の健康を守るための最新の知識を身につけることが重要です。

結論

PFASは私たちの生活に深く浸透している化学物質ですが、その健康リスクを考えると、できるだけ暴露を減らすことが重要です。職場では適切な管理と教育を通じて、日常生活では意識的な選択を通じて、PFASの影響を最小限に抑えることができます。私たち一人ひとりが少しずつ気をつけることで、より健康な生活を送ることができるでしょう。

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